「博多ってなんでこんなに魚がおいしいの!?」と、県外の友人に何度驚かれたことでしょう。住んでいる人間にとってはこれが当たり前という贅沢な環境ゆえ、その理由も分からないまま「博多は何でもうまいったい!」と“博多万能説”でごまかしてきた私。
ですが、ついにここ「長浜鮮魚市場」でその答えを見つけました!
(Photo&Text/藤島知子 Photo/一部提供:福岡市)
“魚の美味しい街・福岡”を支える「長浜鮮魚市場」
九州北西部に広がる玄界灘は、対馬海流の荒波に揉まれ身が引き締まった魚がとれる好漁場として知られています。その玄界灘に向かって開かれた街、福岡に昭和30年に開設され60余年、「長浜鮮魚市場」は、玄界灘をはじめ、九州・西日本各地でとれた魚介類が集まる流通拠点です。
ところで、魚市場には大きく分けて2種類あるのをご存知でしたか?
ひとつは水揚げする漁港に開設される「産地市場」、もうひとつは東京の「築地市場」のように大都市に開設される「消費地市場(中央卸売市場)」。「長浜鮮魚市場」は、博多漁港を擁した全国屈指の産地市場であり、且つ、都心部に位置する西日本有数の消費地市場でもある、両面の機能を備えた全国的にも珍しい市場なのです。
「長浜鮮魚市場」は福岡の中心地・天神の隣、地下鉄赤坂駅から徒歩10分の場所にあるので、市内の小売店や飲食店に届くスピードも段違い。とりたてピッチピチのお魚が、新鮮なうちに私たちのお口に飛び込んでくるのだから、そりゃあ、おいしいわけです!
朝早くから働く“魚のプロ”たちに感謝
「長浜鮮魚市場」の食堂には何度も来たことがありましたが、取材で訪れるのは初めて。普段は入れない卸売場に足を踏み入れると、そこには水揚げや仕分け作業に精を出す“魚のプロ”たちの姿が。
暑い日も寒い日も、朝早くから働いているみなさんのおかげで、あの美味しいお魚が食べられるんですよね。有り難すぎて、手を合わせて拝みたいくらいです!
一度は見てみたい、活気あふれる生の“競り”!
市場と言えば、あの威勢のいい掛け声が飛び交う“競り”ですよね。市場関係者以外はなかなか立ち入ることのできない競りですが、「長浜鮮魚市場」ではある条件をクリアすれば、誰でも自由に見学できるんです。
その条件とは…早起き。なんせ、競りが始まるのは早朝3時!早起きさえできれば、西卸売場棟2階の通路から競りの見学ができます。
通路は24時間開放されているので、事前予約の必要もありません。活気あふれる生の競りを見てみたい方は、早起きして行ってみては?
プロも唸る、うまい魚が出てくる「おきよ」!
読者のみなさん、そろそろおいしいお魚が食べたくなってきたんじゃないでしょうか?ここでとっておきのグルメ情報といきましょう!
こちらは鮮魚市場に隣接する「市場会館」。1階の食堂街には魚自慢の飲食店が軒を連ねます。
舌の肥えた“魚のプロ”が足しげく通うくらいですから、どの店も味はお墨付き!中でも私のお気に入りは「おきよ」です。
「おきよ」は創業昭和22年、鮮魚市場と共に歴史を刻んできた老舗食堂。店内にはズラリと著名人のサインが!メディアでも度々紹介される超有名店なんです。
鮮度バツグン!「おきよ」の胡麻サバに舌鼓
福岡に来たなら絶対に食べて欲しいのが博多のソウルフード「胡麻サバ」。昔、関東の友人に「胡麻サバ」を紹介したところ、「サバを刺身で食べるの!?」と驚かれ、「え、普通じゃないの!?」と逆にビックリした経験があります。
魚の中でも特に鮮度が落ちやすいサバを生で食べることができるのは、漁場が近く、とった半日後には食べられるという恵まれた環境のおかげなんだと、その時初めて知りました。
福岡の数ある飲食店の中でも、「おきよ」の「胡麻サバ」は鮮度バツグン!なんたって、鮮魚市場は目と鼻の先ですから。
今にも飛び跳ねそうなピッチピチのサバの切り身に、甘めのしょうゆをベースにした特製ダレとゴマをかけたシンプルな一皿ですが、これがもう、ご飯が止まらないったらありません。脂が乗ってプリっと弾力のある生のサバに、きっと度肝を抜かれますよ。
「おきよ」の胡麻サバ定食は、ごはん(おかわり自由)、みそ汁、小鉢と漬物が付いて700円(税込)。
他にも、密かな人気メニュー「クジラの刺身」(800円・税込)や、旬の魚が惜しみなく盛られた海鮮丼(1,800円・税込)など、魅惑の“市場メシ”がズラリ。
朝7時から営業しているので、旅の朝ごはんにオススメです!(仕入れ状況により提供できないメニューもあります。お問い合わせを)
毎月第2土曜日は“市民感謝デー”。マグロ解体ショーも!
「長浜鮮魚市場」では毎月第2土曜日に「市民感謝デー」が開催されています(朝9時~12時)。普段は市場関係者しか入れない卸売場で、直接新鮮なお魚を安く買うことができるとあって、毎回大人気です。“マグロの解体ショー”や“お魚さばき方実演”などのイベントもあるので、タイミングが合えば、こちらもぜひ。
海の恵みや、市場で働く方への感謝を胸に、よりおいしく博多の魚を味わうことができるはずですよ!
福岡市中央卸売市場鮮魚市場(長浜鮮魚市場)
【ふくおかしちゅうおうおろしうりしじょうせんぎょしじょう(ながはませんぎょしじょう)】
利用時間:見学者用通路…24時間開放
魚っちんぐプラザ…日・祝・休市日以外の10:00~16:00
※1階食堂街は店舗により営業時間、定休日が異なります
Web:http://nagahamafish.jp/
住所:福岡県福岡市中央区長浜3-11-3
おきよ
営業時間:【平日】7:00~15:00(L.O.14:30)、18:00~22:00(L.O.21:30)
【土日祝】11:00~15:00(L.O.14:30)、18:00~22:00(L.O.21:30)
※魚がなくなり次第終了。鍋料理は要予約
定休日:第1・3・5日曜
住所:福岡県福岡市中央区長浜3-11-3 市場会館1階
おまけPHOTO
こちらは2階の見学通路から見た昼間の西卸売場棟の様子
市場会館2階の「魚っちんぐプラザ」には、競りの声が聞ける装置もあります!早起きが苦手な方はこちらへどうぞ
市場会館13階からは博多湾の眺望を楽しめます。福岡タワーも見えますよ!
こちらは天神の街並みを見下す南側の眺め。こんな都会のど真ん中に市場があるんです