日常で悲しみやイライラを感じる度、かわいい動物画像に癒やしをもらっている私。ペットを飼っていないので、動物園に足を運ぶこともしばしば。7年をかけたリニューアルが完了した、鹿児島の平川動物公園は、そんな私の「癒されたい」欲求を満たしてくれる絶好のスポットなのです。
鹿児島県民が足しげく通う平川動物公園
鹿児島市街地から車で約40分の距離にある平川動物公園は、鹿児島県民なら誰でも1度は足を運んだことがある、と断言できるほどの人気スポット。敷地面積は31万4000㎡(東京ドーム7個分弱)、園内には約140種1000点の動物が生活しています。
リニューアルが昨年完了し、以前より自然の生活に近いスタイルで動物たちを間近で観察できるようになりました。百獣の王・ライオンも、息遣いが聞こえてきそうな距離感でみることができます。ライオンの気分次第ですが。
カメラ片手に平川動物公園を訪れてみて毎回思うのが、動物の写真を撮るのって難しいってこと。
なにせ相手は動物。こちらの思った通りに動いてはくれません。どうにかとびっきりかわいい写真を撮りたい。そうだ、動物のことなら動物園の人に聞くのが一番なのでは?
ということで、平川動物公園の公式ツイッターを担当し、動物たちのキュートな姿をUPしている、学芸員の福守さんに撮影のコツを聞くことにしました。
撮影のコツ、教えてください!
「動物のかわいい写真を撮りたいんです!」と意気込む私に、「学芸員の立場としては、動物が、ただただ“かわいい”の対象で終わってしまうのは少し複雑な気分なんです…」と福守さん。そうですよね、わかります。すみません。
それでも優しい笑顔で、動物のこと、撮影のこと、教えてくださいました。
——どうすれば、いい写真が撮れますか?
(福守さん)まずは、動物の視線に合わせることです。動物を見下ろすのではなく、同じ目線、時には下から見上げることで、臨場感のある写真を撮影することができますよ。
実は、平川動物公園内のリニューアルの際にこだわったのもこの部分で、動物たちと目線を合わせて同じ生き物としての理解を深めてほしいって思っているんです」ワラビーなど、すぐそばで観察できる動物でオススメなのは、スマートフォンを差し出しての撮影。普段では中々みることができない角度から、表情を捉えることができますよ。
クロヒョウの撮影の時には、誰かに協力をあおぎましょう。目の前で素早く走り回ると、野生の本能から追いかけてきます。
そう説明をした後、カメラを構える私の後ろで、汗だくになりながら走り回ってくださった末の1枚。クロヒョウの目が福守さんを狙っています。う〜ん、ワイルドな視線!
待ちの姿勢でベストショットを狙え
−−動き回る動物って撮影が難しいですよね?
動物をよ〜く観察していると、舎内に獣道ができているのに気がつくはずです。お気に入りのルートを何度も歩くことでできた道です。動物をカメラで追いかけるのではなく、獣道の動線上で待ち伏せることで、まるで今からこちらに向かってくるような迫力ある写真になりますよ。
相手は生き物ですから、こちらが思った通りに動いてくれるはずもありません。
前を通った時に目の前にいなくても、少し待てばサービスたっぷりのポーズをとってくれるかもしれないので、忍耐が必要です。
福守さんのお話を聞いて、動物たちに「かわいい」だけの感情を押しつけ、自分の思うように動いて欲しがっていた自分を反省。
ステキな写真を撮るには、動物の生態を理解して、こちらが動物の気持ちに寄り添うことが必要だったんですね。
平川動物公園では、こんな写真も撮れちゃいます
平川動物公園内をグルリと案内してもらった後には、こんな一言が。
−−遊園地の観覧車、乗ってみてください。桜島がキレイに見えるはずですよ。
平川動物公園には、レトロな遊園地が併設されていて、1回100円で乗り物を楽しむことができるんです。子どもの頃に乗って以来ですが、桜島とか見えたっけ?と思いながら乗ってみると…
絶景!絶景です!
鹿児島県民の私でも、なかなかこんな桜島は目にすることができません。
動物園の観覧車からこんな景色が見られるなんて知りませんでした。
ルンルンで遊園地を出る私の目に飛び込んできたのが、売店に掲げられた「コアラソフト(280円)」の文字。平川動物公園の人気者・コアラの顔をしたスイーツです。
耳はラングドシャ、目と鼻はチョコレートでできた美味しくてしかもかわいいコアラ。遊園地の売店とリスの森近くの売店で販売をしています。
福守さんの一言のおかげで、動物以外にもフォトジェニックなものを発見できました。
1度ではなく、何度も訪れたい平川動物公園
平川動物公園内はとても広いので、全ての動物をじっくり観察して、撮影してとなるととても1日では足りません。キリンにインドゾウ、ホワイトタイガー、ホッキョクグマ、ペンギン、コツメカワウソなどなど、オススメしたい動物はまだまだたくさん。
一度と言わず、何度でも訪れて、ベストショットを手に入れてください。
「わからないことや、知りたいことがあったら、飼育員に尋ねてみてくださいね」そう伝えてくれる福守さんの言葉を聞いて、動物はもちろん、そこで働く人たちの魅力にも気がついたのでした。
小さい頃から通い詰めた平川動物公園がまた好きになりました。
今度の週末にも出かけようかな。
(Text&Photo/上村杏奈)
鹿児島市平川動物公園【かごしましひらかわどうぶつこうえん】
営業時間:9:00〜17:00(入園は16:30まで)
定休日:12月29日〜1月1日
Web:http://hirakawazoo.jp
住所:鹿児島県鹿児島市平川町5669-1
おまけPHOTO
チンパンジーのイチエとイチロー親子。元チンパンジー担当だったという福守さんが、親子を見つめる姿が印象的でした。
発見が難しいベンガルヤマネコ舎にはこんなポスターが。飼育員さんたちの優しさを感じます。
バクとカピバラのお昼寝風景。こんな姿が見られるのも動物園ならでは。
個人的にオススメなのは、実は「は虫類」なんです、と話す福守さん。動きがほとんどないので、撮影向きなんだそうです。
アドバイス通りにミシシッピーワニをパチリ。確かに撮りやすい…でもちょっと怖い!?