三重の伊勢神宮といえばもはや国内旅行の定番。平成のお伊勢まいりブームもあって「伊勢神宮に行ってきた」という方も、たくさんいらっしゃると思います。ですが、参拝の時間にまでこだわった人は少ないのではないでしょうか。
今回は「早朝に伊勢神宮をおまいりする」という、特別な体験についてお伝えします。
早朝だけの、厳かな伊勢神宮の雰囲気が好き
伊勢神宮はおよそ2000年の歴史をもち、古くから「一生に一度は参りたい」と尊ばれ続けてきた聖域。伊勢市の「内宮」「外宮」を中心に、三重県の4つの市と2つの郡に点在する125の宮社があり、ひとつの宗教施設としては世界でも類をみない規模となっています。
伊勢神宮には、国内外から多くの参拝者が集いますが、僕が好きなのはだんぜん早朝、まだ人気の少ない伊勢神宮。これまで約11年間、公私に渡って伊勢に通い続けてきて、辿りついた答えが「早朝まいり」なのです。
朝の爽やかな空気、やわらかい太陽の光に満ちる境内、神宮の森のざわめきや川のせせらぎの音――あの雰囲気は、「早朝まいり」をした人にしか味わえません。
木漏れ日のなか伊勢神宮の森を歩く心地よさ!
僕がわざわざ早起きして伊勢神宮を訪れる一番の理由は、このすばらしい時間と空間を感じたいから。
早朝、参拝者もまばらな境内は「しーん」という音が聞こえてきそうなほど静か。森のざわめきや川のせせらぎの音に耳を澄ませ、木漏れ日にきらめく玉砂利の参道をゆっくり歩くと、はるか昔から神さまがいらっしゃる聖なる場所として尊ばれてきたことが、なんだかわかるような気がします。
まさに聖域! この清らかで美しい景色は、朝早く伊勢神宮を参拝したひとだけの特権です。
静けさに包まれて内宮参拝ができる
神々の中心である天照大御神(あまてらすおおみかみ)がいらっしゃる伊勢神宮内宮の正宮。ここは日中混雑するのですが、早朝なら混雑することなく、静かにゆったりと参拝することができるんです。ときには石段が朝露に濡れ、木漏れ日を浴びて幻想的に輝く光景に出会えるのも、朝の参拝ならでは。
正宮は、個人的なお願いをする場所ではなく、日ごろの感謝を神さまに伝える場所。古くからの習わしにのっとって、ひとり心静かに参拝すると、ほんとうにココロもカラダも洗われるようです。
混雑前に「赤福本店」に立ち寄れる
急に“食い気”の話になるのですが、伊勢神宮をおまいりする際、僕が必ず立ち寄るのが内宮の門前町・おかげ横丁にある赤福本店です。つくりたての赤福餅が、とにかくおいしい!
実はこの赤福本店、朝の伊勢神宮参拝者をもてなすために、なんと早朝5時から営業しているんです。人気店なので昼間は行列することもありますが、早朝ならその心配もなし。歴史を感じる木造建築のお座敷で、優雅においしい伊勢名物を味わえるのは、それを知ってる人だけの特権です。
そばを流れる五十鈴川や、朝日にきらめくお庭の緑を眺めながら、ゆっくりくつろいでいると、「あ~、早起きして良かった!」と素直に思えます。
2時間30分限定の「あそらの茶屋」の「朝粥」が旨い!
“食い気”の話が続きますが、大好きなのでコレに触れずには終われません。
僕はいつも前泊して早朝のお伊勢まいりにのぞむのですが、楽しみにしているのがこの朝粥。参宮あわびで有名な老舗「伊勢せきや」の2階に併設する食事処「あそらの茶屋」が、朝の参拝者にむけて7時30分から10時限定で、昆布とカツオのだしで割った特製だれで味わうおいしい朝粥を食べさせてくれるのです。
これが、しみじみとおいしいんです。
ひと口ごとに、じんわりと体に染み込んでいくのを感じます。写真でもわかるように、お粥のほかにいろんな小鉢もセットで、まるで旅館の朝食のよう。あそらの茶屋の朝粥を食べるために、前泊の宿のプランを「朝食なし」にするのが僕の定番です。
「知ってて良かった!」がいっぱいの早朝まいり
このように、早朝の伊勢神宮まいりには「知ってて良かった~」と思うことがいっぱいあります。早起きするのはツライですが、早朝参拝の魅力はそれを補って余りあるものと自信を持って言うことができます。
「わたしもひとり静かにおまいりしてみたい!」というかたはぜひ。もしかしたら、今まで知らなかった伊勢神宮に出会えるかもしれませんよ。
伊勢神宮【いせじんぐう】
時間:5:00~19:00(10~12月は5:00~17:00、1~4月・9月は5:00~18:00)
Web:http://www.isejingu.or.jp/
住所:三重県伊勢市宇治館町1(内宮)/伊勢市豊川町279(外宮)
赤福本店【あかふくほんてん】
営業時間:5:00~17:00
定休日:無休
Web:http://www.akafuku.co.jp/
住所:三重県伊勢市宇治中之切町26
あそらの茶屋【あそらのちゃや】
営業時間:7:30~17:00(1階売店は8:30~)
定休日:無休
Web:http://sekiya.com/
住所:三重県伊勢市本町13-7
おまけPHOTO
朝日が昇る伊勢神宮内宮の宇治橋
手水舎で身も心も清めてから参拝を
伊勢神宮の境内を流れる清流・五十鈴川